住職近況

バックナンバー  2022〜

 遠くまで歩いてきました

 当サイトの愛読者の方々、お暑うございます。今年も一寸たがわずに6月から猛暑となりまし た。雑草や枝も伸び放題です。夏野菜もすくすくと成長し、ヤングコーン、ナス、ズッキーニを収穫し賞味しております。暑さと実りは表裏一体なので、仕方な いかとも思います。比較的今年は雨が足りているので水やりのない分は楽かもしれません。
 さて、私の姉は2歳上なのですが、今月で還暦を迎えました。もう私もまもなく還暦を迎えることとなります。医学が未発達で栄養も十分でなかった、その昔 は60歳を迎えることはとても喜ばしいことで、赤いちゃんちゃんこを着て、家族、親戚中で祝ったと言われています。人生100年時代の現在は、60歳はま だ青壮年のような扱いとなっています。とはいえ、体力も気力も若いころと比べると低下しており、特に草刈りや長時間の屋外作業では体へのダメージが激し く、次の日はぐったりとしてしまいます。まだ私もサラリーマンも兼ねていますので、職場では筋肉痛と疲労と戦いながら、事務を執っています。本当に無理を している実感があります。
 年齢の話になりましたが、20代の頃は、海外やいったことのない場所、そして、食べたことのない食べ物、見たことのない景色などにとても魅力がありまし た。「遠くに、遠くに」と心を熱くしていた記憶があります。その記憶をふと今思い返して、今の自分自身にあてはめて見ますと、「遠くに行きたい」と思った のですが、その「遠く」というのは場所ではなく、たどってきた長い時間であり、色々な経験だったというのが、この歳になり理解できました。過去の歌謡曲などでも「遠くに行きたい」「遠くへきたもんだ」等と歌われ ていますが、実はその歌詞の意味は貴重な経験の積み重ねだったのではと感じています。
 本当に、色々な人と出会い、色々な経験をして、遠くまで歩いてきました。私がこれからどこまで歩いていくのか、仏様しか知らないと思いますが、ゆっくりと歩いていきたいと思います。

沙門 尚田 敬白